高校に進学しても僕は全く変わらなかった。
周囲の人間が変わっても人間には違いないからだ。
ただ人格と見た目が違うだけで本質的には変わらない。
変わらない世界で生き続ける事に苦痛はなかったが面白いと感じる事もなかった。
僕の心は繊細過ぎる。だから守り抜かなければならない。
表層的な付き合いだろうが深層的な付き合いだろうが
自らを委ねてしまえば簡単に崩れ去ってしまうのは幼少時に学んだ事で、
思えば父や母に裏切られた事をキッカケに僕はこうなってしまったんだろうと思う。
何かにすがってもいずれは消え去るモノならば最初から作らなければいい。
ただ僕は人間の心を奔走させ憔悴させ潰す事が唯一の心の安寧で、
最低な行為だと知りつつも麻薬や酒や煙草と同じように止められないのだろう。
僕の心は不安で塗りつぶされている。変化を恐れている。
人は変わらずにはいられないと言うが、本当にそうなのだろうか?
少なくとも人格面において、表面的にはともかく、追い詰められた時はどうだろうか?
快楽主義に走るモノ、自殺に走るモノ、犯罪を行うモノ、宗教に傾倒していくモノ・・・
心に根強く巣づく暗黒面こそがその人間の基礎的な人格だと僕は思う。
そしてそれは自己が確立する時期に完成しているはずだ。
強い変化こそが人間の心を揺るがす時であり本質をスッと出す瞬間である。
弱い人間ほどそれは強くでる傾向があり、それを出さない為に家族などの
自らを支えてくれる存在を多く、そして強く求めるのだろう。
しかし人間への恐怖を持つ人間はどうすれば良いのだろうか。
人間以外の代用品で誤魔化すしかないのだが、自らが人間である以上、
本能レヴェルで人間を求めてしまう矛盾を抱えその矛盾を正す為に僕は人の心を喰らうのだ。
高校の時のエピソードをひとつ語ろう。
僕には友達と呼べる人がいた。
しかしいつの間にか喰ってしまっていたのだろう。
注意していたにも関わらず、だ。
自らが抱え込む人間への恐怖心からどこまで喰ったら裏切られるのだろうと
算段していたのだろう。感じることの出来ない心の奥底で。
そしてついにその時はくる。
友達付き合いを止めると言われ、そのまま話さなくなった。
クラスが一緒で、昨日までの会話はなくすれ違っても視線すら合わさず
瞬間的に他人になった出来事だ。その日の晩、僕は泣いた。
そして泣きながら徐々に気づいていった。僕という人間性に。
続く。
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