病的な愛情は時に強固な意志となり意思は形となる。
ネット彼氏、ネットストーカー、リアルストーカーを持った彼女は
自らを強めるしかなかったのだろう。
俺はその強さを知らずに手を出してしまった。
今ではもう遅い。
後悔は先にたたず、懺悔などただの自己満足であり、
現実を見据え受け入れる事こそが俺にできる最大の行動なのだから。
ネットストーカーは実に厄介なもので粘着質極まりない。
彼らの思考回路はさっぱり解すことができないが、
非常にポジティブか、ネガティブかのどちらか極端であり
異様さを感じられる。ただ俺はそれを見て楽しんでいる更に底辺なクズだが。
心の迷い、動きを見て楽しむ。時折手助けして自分の用意した結末へと導いていく。
得も知らぬ快楽、神にでもなった気分になる。
追撃を振り切るには痕跡を消せばいい。
それは過去を捨て去ることになってしまう。
ヒトの強さの根源のひとつに思い出がある。
簡単に振り切れるものではなく、しかし、他に選択肢はなく。
葛藤し、行き場のない怒りを俺にぶつけ、誘導していく。
少しずつ領地を減らしていき、孤立寸前まで追い詰め、
頼れるのが俺しかいなくなるまで誘導し続ける。
とても楽でとても楽しい作業だった。
ある境から作業は当たり前の行為となると俺が退屈になる。
だから、色々なスパイスを振り掛けて、味を変え、じっくりといたぶっていった。
日々目減りしていく思い出、友達、その都度苦しさを俺にぶつけて
その苦しみの内容を聞くたび、酒とは違う陶酔感があった。
簡単に言えば、支配していた。一個のヒトを。
しかし、予定調和ほど面白くないものはない。
どんな料理だって食べ続ければ飽きてしまうように、俺は素材そのものを
ガラっと変えてしまう事に決めた。全てを捨てさせるか、それとも
俺を捨てるかと、残酷で結果は決まりきっている質問を投げた。
彼女の葛藤は凄まじいモノだった。何せ自分の強さを支えていたほとんどのものを捨てろといわれているようなものだから。
影であざ笑いながら俺はその葛藤をただ見ていた。
背を押してやるのは最後の最後。
そうでないと意味がない。支配とは生かさず殺さずだと俺は思っているからだ。
葛藤しきり、心がつぶれ、俺に頼ってきた時、俺は彼女を完全に支配し、
彼女は俺の支配を受け入れ過去の全てが終わる。
こうして、彼女は俺の支配を受け入れた。
続く。
*ルール
リンクフリーです。
文字転載はコメント欄より連絡をしてください。