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手紙

そして・・・。
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彼女は、そのまま息を引き取った。

死・・・。
存在がなくなる事。
声が聞こえない。
もう笑顔が見れない。
なにより・・・

もう・・・愛し合えない。

俺は1ヶ月ほど精神が死んでいた。
そして、彼女のいない生活が辛い事を受け止めないとならないことを
嫌でも悟ったが・・・彼女の母親は狂ってしまった。俺も狂いたかった・・・。
あちらの親子は日本にはいられないということで海外へ・・・。
最も、俺は元々狂っていたのかもしれない。ワカラナイ。
愛していたのか?涙は出る。ワカラナイ・・・わからない・・・わからない。

だが・・・俺は彼女を愛していた。別の意味で狂うほどに。

俺は5年前から人生が止まっている。
彼女が俺の未来を望んでも、俺の未来に彼女がいなければ意味がないのだ。
今、望むことは、もう一度、彼女と、付き合いたい。
しかし、それは不可能な話。
ならば、俺は・・・。オレハ・・・。おれは・・・。

大切な人を失う事。
理屈では誰もが解っているだろうし、覚悟が出来ている気分でいると思う。
しかし、体験してみなくては解らない世界がそこにある。
心身の一部をごっそりと持っていかれたような感覚に陥るのだ。
どれだけ絶望に打ちひしがれても二度と戻らない日々。
幸せだった日々。

元よりメインの手術の前の予備手術というか、心臓を補強する手術だったから
医者は安全だといっていたが、それでもよく発作を起こし倒れていた彼女だ。
心には絶望感と不安が覆いかぶさっていた。

彼女の手術は成功した。
祈ることしかできなかった俺や彼女の家族だったが、あの時ほど神に感謝した事はない。
それからは特に波乱もなく今まで通りの生活を二人で過ごした。
メインの手術は体調と精神的な部分を見てとの事になっている。
婚約もした。ご両親に挨拶もした。
彼女の父親には殺されかけたが少しとはいえ将棋が打てるとしって喜ばれた。
家族の誰も将棋を打たないし打てないからだそうだ。
義姉の旦那さんはかなりハードな仕事のうえに家庭もあり忙しいらしく
父親も事業をしているので息抜き相手が欲しかったのだろう。
余談だがその後、事業に失敗して3000万の負債を背負い、土地をいくつか処分したそうだ。
最も、彼女は遺産相続権を放棄する署名をしていたので俺達には関係のない話だが
その頃の父親は相当荒れていたらしく、家族に対しての八つ当たりも酷かったそうだ。

話を戻そう。
婚約指輪はチャチなものだった。
高価なものは極端に嫌う彼女だった。
レストランでディナーよりも二人で彼女が作った料理を食べる事を好み
アクセサリーも1万円以上の物になると萎縮してなかなか受け取ってくれなかった。
彼女の夢は婚約指輪に天使の卵のリングを貰うことだった。
だから、俺はかなり恥ずかしかったがそれを贈る事にした。
異常なまでに興奮して喜んでくれた。発作がおきるんじゃないかと心配したぐらいだ。
涙まで流して生きていて良かったといってくれた。
俺もつられて涙がでた。その後、二人で笑いあった。

体調はぐんぐんと良くなり、いつまでも家族に甘えていられないという理由から
彼女は義姉の勤める会社に事務員として就職した。
その前まではその会社の社長の家の掃除と料理をアルバイトでやっていた。
その一方で俺を立ち直らせようと頑張ってくれていた。
常に電話で話をしててあげるからといって、俺を外へ出し、人と接しさせ
アルコールをやめさせ、仕事を探させ、友達を作らせようとしてくれた。
俺も頑張らなくてはと思い、東京へ出た。
生活必需品やたまに料理を郵送してくれた。
料理の仕方も教えてくれた。寂しくなったらいつでも電話に出てくれた。
どこまで深い愛情なのだろう。俺のような人間にどうしてそこまでできるのだろう。
疑問だった。しかし愚問だった。愛とはそういうモノだから、だそうだ。

11月、彼女の親戚が2人死んだ。
彼女の手術は12月と決まっていたが彼女の母親が猛反対した。
嫌な予感がすると。
そういった経緯から、12月から来年の夏ごろまで延期される事となった。
彼女は申し訳なさそうに、また、結婚遅れちゃってごめんと謝罪してきた。
これでメインの手術の延期は3度目だからだ。
心臓の補強手術もメインの手術が2回延期した上で、安心する為にしたようなものだからだ。

12月の末、クリスマスも過ぎ、もうすぐ正月だなという季節。
久しぶりにデートの約束をした。
とはいっても二人で打算も何もなく適当に遊ぶということだが。
常に打算で動いていた俺を知っている彼女は打算抜きの行動に凄く喜ぶ。
彼女から携帯が鳴る。
会社に書類を忘れたから寄ってからいく、と。
俺は了承し、携帯を切り、どう時間を潰そうか思案した。

その1時間半後。
遅いな・・・と思いながら連絡するのも躊躇いつつコーヒーを飲んでいると着信が入った。
そして、彼女が倒れたとの報告が義姉から入った。
いつもの発作かと瞬時に思った。だが様相が違う。
病院に入院したそうだ。意識不明の重態。

意識不明?
なんの冗談だ・・・と、俺は悪夢のどん底に落とされた気がした。

続く。

疲弊した心は安らぎを求める。
俺は狂気的なまでの愛が怖くて、他の女性とこっそり話していた。
大小様々な愚痴をこぼしながらも全て聞いてくれた。
なぜ気づけなかったのか。
他者の愚痴を全て受け止める事が出来るなんて
自分に好意を持っている以外なにものでもないと言うのに。
好きと言う言葉の重みが全く違うことに気づかず、俺はその女性に
問われた問いに好きと返してしまった。
私の事、好きか嫌いか。友達として好きと言えば良かったのに。
今思えば逃げられない現実から逃げ出したくてそう言ってしまったのかもしれない。
最低だ。

その事で浮気と認定され、大喧嘩してしまった。
俺の愚痴を聞いてくれていた女性は去っていった。
もう何がなんだかわからなかった。
倫理、論理、感情、摂理・・・ぐちゃぐちゃにかき回しあい、互いに責め合う。
わからないからこそ、自らの正義を正当化して突っぱねる。
子供同士のような喧嘩を繰り返し繰り返し。
その度に、彼女の姉に説教され、また喧嘩をしてどんどん歪んでいった。
だが、共依存の関係は崩れない。
俺は罪悪感から。
彼女は愛するが故に。

そんなやり取りをしながらも時は流れる。
一通の手紙が俺の世界を変貌させた。

俺へ

生きる希望をありがとう。
(本名)が大好き  生きる希望をたくさんもらって
たくさん 笑顔もくれた。
 手術はカケだよ。  でも おくびょーで弱い(本名)を
一人には出来ないから 大きなカケをします。
もし 成功したら 2人で 幸せになろう。
もし (彼女の本名)がいなくなったら (本名)が(彼女の本名)の分
生きること。   約束したんだからね!
いろんな事あったよね     (浮気相手の本名)の事 つらかった。
信じていても  (彼女の本名)の(本名)で それだけでいてほしくて
(本名)にも (浮気相手の本名)にも 嫌な思いさせたんだね
他にも もっとx2 あやまらないといけない事が
たくさんあるの。  でも  (本名)も(彼女の本名)にあやまる事
たくさんあるよね。 だからお互様
 人生は何がおこるか わからないよ でも 自分が
 幸せだと 思わなければ 幸せにはなれないよ。

素直になること   とても大事だよ
人に幸せにしてもらうんじゃなく   自分から幸せになろうと
すること。
 人に存在として その人を傷つけちゃいけない。
おくびょうな (本名)
前に進むには時間がかかるかも しれない。
でも 進めるよね。   (俺のあだ名)はいつだって自分を守って
きたんだものね。  今度も自分を守れるよね
助けることは できないかも しれない。
でも   必ず見守ってる。
闇にのまれるのが怖いくせに 昼夜逆転するのもやめよう!
社会にでてください。
自分だけがつらいんじゃない。
友達と言える人を 作って下さい。
人を愛してあげて下さい。
愛を知れば  変われるはず。
(彼女の本名)の時のような  間違いをくりかえさないためにも
自分を甘やかすのはやめよう!
 がんばれ  (俺の本名)

手術前に届いた手紙。俺は目の前が真っ暗になった。

続く。

絶望の世界に生きる目は全てが乾いて見える。
頭のネジが飛んでしまったようにね。
あぁ。世界は狂っている。俺も狂っている。
死に惹かれながら死を恐れる矛盾に。
俺が俺じゃない時こそが至福のときといえる。
眠っているとき、酒を飲んでいるとき。

俺は逃げ出した。
怖くてしかたない。なにもかもが。
人生とはなんのためにあるのか?
一生懸命働いて、その先に何があるのか。
一生懸命生きて、その先に何があるのか。
自己満足ではないのか?
違うのだろうか。
経験したことが無い。
するつもりもない。どうでもいい事だ。
記憶が消去されることが怖いだけなんじゃないのか?
未来への希望はないというのに。
生き恥を晒しながら何故生きている?
怖いのか。
他に理由があるのか。
強烈な恐怖の死と向き合い続けた彼女は死ぬ瞬間まで強く生きた。
俺はどうだ?終わっている。腐っている。
泥水を飲んででも生き延びるようなものだ。
悲しみや辛さを全て忘却の檻へと封印して。
零れ出る思い出は悲しみに包まれて涙で流して。

卑怯者だ。届かない至高の存在。
もう、絶対に届かない。
なにがあっても。終わってしまった人生は取り返しがつかない。
死に引っ張られて、生に引っ張られて、俺は毎日を怠惰にイき続けるしかない。

腐ってやがる。

続く。
ありえない。ありえない。ありえない。
だからないことにした。俺は、なにもなかったことにしたかった。
精神がぶち壊れ、それでも「ない」と思い込むことで何もかもを空想の世界へと追いやった。
辛い時は夢を見ればいい。
悲しい時は泣けばいい。
心の傷は癒えやしない。
クスリと酒と睡眠の世界へと逃げることで俺の心は平衡を保っている。
少しでも違うことがあればパニックになってしまう。
逃げの思考。
違う。
前向きになったところで・・・。
違う。
言い訳だ。
違う。
失われたヒトはよみがえらない。
違う。
何を願っていた?
違う。
そんなことはない。死を望んでいるはずだ。
違う。
手紙を読め。現実を受け止めろ。
違う。
俺は?
違う。
どうしたい?
違う。
何が?
違う。
何も。
違う。

あああああああああああああああああああああ!

侵食しているのか、されているのか。
俺のテリトリーはなくなり彼女もまた俺によって自らのテリトリーをなくした。
むき出しの心は強く傷つけあって、傷を舐めあい続ける。

こ ん な は ず じ ゃ な か っ た 。

ストーカーとは愛憎の心の究極の形だと思う。
彼女の強力な愛と強い生き様は美しく、時に反動がありとても醜い。
覚えているだろうか?ダブルストーカーの存在を。
そのうちの一人が家に押しかける事件がおきた。
刑期を終えて出てきて真っ直ぐ向かってきたそうだ。
3重の意味で死の恐怖をもつ彼女は俺に電話で助けを求めてきた。
とりあえず、警察へ連絡し、暴れたので公務執行妨害と家宅不法侵入の罪で引っ張られていった。
後で会うことになるのだが、顔はそこそこで背丈は高く、筋肉もスポーツマン程度にはある男だ。

悲しみが、呪いに似た愛が俺を包む。
何故ここまでヒトを愛することができるのか。
理解が出来ないモノを化け物と言うが、確かにその通りだ。
死んでいく心の細胞と殺していく心の細胞が拮抗していって。
カケラカケラをひとつずつ救って欲しいと願い、だが、それは叶わない夢。
喧嘩と平穏と甘美な毎日を送りながら。
このまま、ずるずると生活していくんだろうと観念していた。
しかし、氷が溶けるように、少しずつ、破綻していった。
亀裂が入った時点でわかっていたことだったが、先延ばしにしつづけてきた。
現実なんてものは見たくなかったからだ。
少しずつ病んでいく心臓を見てみぬ振りをしながら、元気な声が明日も響くと信じて・・・。
いや。信じるしかなかった。信じたくなかった。

ネット上のストーカーはふっと姿を消した。
恐らく飽きたのか、それとも、他に好きなヒトができたか。
まぁ、どちらにせよひとつの懸念が減ったことは喜ぶべきか。
あとヒトリ。
奴は怖い。殺るか殺られるかの世界で生きている目を見たことがあるかい?
彼はそんな目をしていた。
そんな奴と対峙しなくてはならない。
何故なんていってられない。もう、ここまできたら・・・。
奴は何でもやる。俺の命も狙われている。
奴の思考回路はシンプルだ。

俺を殺せば彼女は自分の元へ戻ってくる・・・。

ありえない。だが、ありえないことほどありえる。
事実は小説よりも奇なりとはよくいったものだ。
勿論、俺は全力を持って対抗した。
彼女を守りながらも自分も守らなければならない。
手段なんてそれこそ選んでいられない。
心臓が





・・・・・・・・そう。




心臓に負担を相当かけるものなのだ。
重圧にしろ恐怖にしろ死への恐怖にしろ・・・。
死が身近にないヒトにはわかるまい。
明日には心停止して命がなくなってしまうという状況下を。
全てが。
何もかもが重なって。
それでも強く生きようとして。
心労が祟った。
楽に生きることが何故出来なかったのか・・・。
単純な事だ。責任感の強さ故、自分が家庭を引っ張っているという劣等感から
子供のころから頑張り続けていたのだ。
俺はナメていた。命をかけて生きているヒトの情熱を。
普通のヒトが蝋燭なら、彼女はオイルで塗れた蝋燭のようなものだった。
知らない。知らない。知ったことか。知るはずが無い。
隠された真実。どこかにあった真実。
いまさらの話だ。

話を戻そう。
ストーカーはしつこく付きまとった。
俺と彼女に。だが、彼女の責任感の強さは異常すぎた。
俺と付き合ったことで迷惑をかけていると自責しつづけていた。
そんなことないといい続けても無駄だった。
頑固なのだ。感情の面においては、とにかく。
だから。
だから。

だ か ら 。

俺は。
任せてしまった。
甘えてしまった。
償え切れぬ罪。
戻れぬ過去。

続く。

ウィナの準備とは簡単な事だった。
素体といえばいいのかわからないが、現世へ降りる際の肉体を選べと言う。
1つ目の体は見た目や身体能力など、全てが平均的な体だった。
俺を生き返らせる為には人を殺さなければならない事を考えれば目立つのはまずい。
そういった意味ではベストと言えるかもしれない。
2つ目の体は1つ目と違い、かなり目立つ部類に入る。
しかし、目立つというデメリットさえ何とかすれば活動しやすい体と言える。
3つ目は赤ん坊だった。つまり転生して活動しろと言うことだ。
意識はそのうち復活すると確約はしてくれたが・・・この体は論外だ。

俺「おい、もう少しバリエーションはないのか?」
ウィナ「あとはおじいちゃんとかそーゆーのだけど、いいの?」
俺「・・・・・わかった」
ウィナ「あっははは!ま、時間はいっぱいあるしじっくり考えなよー」

ウィナが俺の体に引っ付いてくる。
100年間近く孤独だったせいらしく無意識にくっついてしまうらしい。
正直、困る。俺は女の免疫が全く無い。
いくらウィナがアホな性格をしていてもぷにぷにと背に当たる感触ばかりはどうしようもない。

俺「邪魔だ。離れろ。どの体にするか考えている最中だ」
ウィナ「いーじゃんいーじゃん。やらしー事もついでに考えちゃっていいよ?」

”んふふー”と悪魔の笑みで笑う。
からかわれている事は百も承知だが、しかし・・・これは・・・。
喋らなければ俺と年相応で美しい女なのだ。
誘惑しているのか・・・?格好が悪魔だしな・・・。
いや、まて。これでは彼女の思う壺・・・と思った瞬間。

ウィナ「ふふー。顔つきの割りにウブなんだねー」
俺「うるさい!」
ウィナ「きゃはは!」

俺は恥ずかしさを隠すために手で払いのける。
ウィナはケラケラ笑いながら漆黒の翼を使って空中に逃れていた。
黒い衣装だと思っていたが、翼だったのか。
まるで茶番劇だな。俺も、この悪魔も・・・。
苦笑しながら考える。どの体にするか。二者択一なのだがそれ故に悩む。

ふーむ、うーむと唸っていると、ウィナが俺の隣に降りてきた。
何のようだ?と聞こうと思って思い直す。
構えば話に乗っかってくるだろう。今は自分の体が最優先だ。
どの道、あっちから我慢できずに話しかけてくるだろうと思っていたが
あてが外れたようだ。じぃっと見られ続けるのもなんだか照れくさい。

俺「何のようだ?」
ウィナ「勝った~!」
俺「は?」
ウィナ「どっちが先に話し出すか勝負してたんだよー」

にははと笑う悪魔。

俺「ふざけてると二度と口は利いてやらん」
ウィナ「ごめんごめんってー。ゆるして・・・ね?」

ね?が遅れて聞こえてきた。どうやら頬にキスされていたらしい。
本当にどうしようもない・・・疲れる悪魔だ・・・。
どうしても今日は遊んでほしいらしい。そのぐらいの意図はもう、読めた。
しょうがない奴だなと苦々しく言うとパァっと顔が明るくなる悪魔を見て思った。
本当に寂しかったんだな、と。
なら1日ぐらいは良いかと自分でも変だと解る理由をつけて、とりあえず体選びを諦めた。

目覚め-1-1-2- 完

飴玉はいずれ舐め消えてしまう。
同じ味の飴玉はいずれ舐めるのが億劫になってしまう。
自分の心の弱さ、空洞をヒトを傷つける事で埋め合わせしていく。
抉る心、抉られる心、後悔、微笑、懺悔、始まり、終わり。
思考が壊れタガが外れた俺の心。憎しみは快楽に変わり生きる力と変えていく。
終わらない悪夢。終わりは自分の命の電源を切るだけ・・・。

真実はどこに?
ヒトを支配する事とはある種の共依存と言える。
どこまで欺け続けれるか、俺が欺かれているのか。
選択肢を出し、出され、息詰まる関係と甘い関係を繰り返し繰り返し。
予定調和なのか、不確定なのか。まるでシュレーディンガーの猫の世界に嵌った気分に陥る。
愛憎が膨れ上がっていき矛盾した感情は爆発物と変わらない。
開けてみないと解らない次の日。
喜怒哀楽のいずれから始まるのか?
携帯のメールを見る瞬間にそれが決まる。
俺が望んだ世界と彼女が選んだ世界にはかなりのズレがある。
彼女は俺がどこかへ消えてしまわないかとしがみ付き
俺は重たい荷物を抱えながら生きる日々となった。
バラバラな世界と感情の波に揺られ、俺は少しずつ破壊されていき
彼女もまた、俺の毒気にあたり壊れていった。

俺が女性と話しているだけでキレる彼女。
だが自分は疚しい事がないと言う理由で男と話す。
理解出来ない。何故?何故?何故?正確な答えは無い。
俺が染まってしまったのか、俺が染めてしまったのか。
心の色がわからない。俺なのか、彼女なのか。
同一心を望む彼女だが言い分だけを聞いていると上位にいたがる気がする。
俺は距離を取り平等に遊びたかった。
彼女は距離を無くしたかった。
互いが互いの強い世界観を押し付けあい、和解しては甘くなる。
軽い手術の前に不安だからという理由で12時間ほど一緒にいて
手術後は病院を抜け出し吐血しながら俺の元にやってくる彼女。
心配、不安、怖い、いなくならないでほしいという気持ち。
強い重圧。自由がほしい。俺はどうすればいいのだろうか?
振れば良いのか?離れれば良いのか?駄目だ。
そんな事をしたら死んでしまうかもしれない。
俺はヒトの命まで責任は取れない。現実に逆らいたいが倫理の心がソレを許さない。

あぁ。
俺はどこでなにを間違えたのか。
それとも。
始まりから間違っていたのは俺の世界だったのだろうか・・・。
支えを持ち全てに立ち向かう彼女、理由を使い全てから逃げる俺。
しかし、まだ俺は幸せだったと思う。本格的に壊れるのはこれからだったのだから。

続く。

世界とはとても脆いものだ。
世界を信じているヒトの方が多いと思うし、事実そうなのだろう。
だが、世界は俺を裏切り、何もかもが反転した。
病んだ精神、病んだ体、病んだ生活。
いっそのこと廃人にでもなってしまえばどれだけ救われたか。
死を受け入れたい心、拒否する体。
皆、気づかぬまま漠然と死に向かっている。
生を受けた瞬間に受ける宿命と解っていても。
何が楽しくて生きているのだろう?
何がしたいのだろう?
わからないまま怠惰に過ごしそのまま崩壊を迎えるのか。
なら生きている意味なんてないのだ。
理屈上ではそう理解していても体が拒否する。
いくら泥酔していても、体が受ける痛みは必ず在るのが厄介だと思う。
瞬間的に死ねる方法は色々あるが体が拒否する。
一線を乗り越えるには勇気が無ければ駄目だ。
勇気とは生きる希望であり、生きる理由になる。

死ぬと 無 になると思っているが。
意識が吹っ飛ぶ瞬間とはどんなモノなのか・・・。
興味が沸いているし、生きる目標の無い俺は死のうと思う事は多々ある。
俺が死ぬ事は取り立てて問題はないが遺族に迷惑がかかると思うと実行できない。
少なくとも、今は。
長生きしていてほしいと思う反面、早く楽になりたいという矛盾。
生きる事なんてただの苦痛でしかない。
世界はいつでも誰をも裏切るから。
自分がこうして立っている拠り所がいつどうなるかなんて誰にもわからない。
わからない以上、恐怖しか残らない。
どれだけ安全運転を心がけてても飛び出してくる子供がいて人生が狂ったり。
どれだけ注意して歩いていても暴走車に突っ込まれて死ぬこともある。
ケースなんて考えるだけ無駄だ。
こうして書いている間に俺の頭に隕石が落ちてきて死ぬ可能性だってあるのだから。

俺は負の可能性が怖くて仕方ない。
安全な場所なんて無い。
どこにも。どこにも。ならばこそ。
生きる目標がなく、生きた屍ならば。
快楽主義に走ってもいいと思う。
ヒトはいつどんなときどんな状況でも死が待っているのだから。

続く。
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プロフィール
HN:
ゼロ
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1982/07/05
職業:
ゲーム動画配信実況
趣味:
ネットラジオ
自己紹介:
ほぼ毎日配信をしています。

*ルール

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