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疲弊した心は安らぎを求める。
俺は狂気的なまでの愛が怖くて、他の女性とこっそり話していた。
大小様々な愚痴をこぼしながらも全て聞いてくれた。
なぜ気づけなかったのか。
他者の愚痴を全て受け止める事が出来るなんて
自分に好意を持っている以外なにものでもないと言うのに。
好きと言う言葉の重みが全く違うことに気づかず、俺はその女性に
問われた問いに好きと返してしまった。
私の事、好きか嫌いか。友達として好きと言えば良かったのに。
今思えば逃げられない現実から逃げ出したくてそう言ってしまったのかもしれない。
最低だ。

その事で浮気と認定され、大喧嘩してしまった。
俺の愚痴を聞いてくれていた女性は去っていった。
もう何がなんだかわからなかった。
倫理、論理、感情、摂理・・・ぐちゃぐちゃにかき回しあい、互いに責め合う。
わからないからこそ、自らの正義を正当化して突っぱねる。
子供同士のような喧嘩を繰り返し繰り返し。
その度に、彼女の姉に説教され、また喧嘩をしてどんどん歪んでいった。
だが、共依存の関係は崩れない。
俺は罪悪感から。
彼女は愛するが故に。

そんなやり取りをしながらも時は流れる。
一通の手紙が俺の世界を変貌させた。

俺へ

生きる希望をありがとう。
(本名)が大好き  生きる希望をたくさんもらって
たくさん 笑顔もくれた。
 手術はカケだよ。  でも おくびょーで弱い(本名)を
一人には出来ないから 大きなカケをします。
もし 成功したら 2人で 幸せになろう。
もし (彼女の本名)がいなくなったら (本名)が(彼女の本名)の分
生きること。   約束したんだからね!
いろんな事あったよね     (浮気相手の本名)の事 つらかった。
信じていても  (彼女の本名)の(本名)で それだけでいてほしくて
(本名)にも (浮気相手の本名)にも 嫌な思いさせたんだね
他にも もっとx2 あやまらないといけない事が
たくさんあるの。  でも  (本名)も(彼女の本名)にあやまる事
たくさんあるよね。 だからお互様
 人生は何がおこるか わからないよ でも 自分が
 幸せだと 思わなければ 幸せにはなれないよ。

素直になること   とても大事だよ
人に幸せにしてもらうんじゃなく   自分から幸せになろうと
すること。
 人に存在として その人を傷つけちゃいけない。
おくびょうな (本名)
前に進むには時間がかかるかも しれない。
でも 進めるよね。   (俺のあだ名)はいつだって自分を守って
きたんだものね。  今度も自分を守れるよね
助けることは できないかも しれない。
でも   必ず見守ってる。
闇にのまれるのが怖いくせに 昼夜逆転するのもやめよう!
社会にでてください。
自分だけがつらいんじゃない。
友達と言える人を 作って下さい。
人を愛してあげて下さい。
愛を知れば  変われるはず。
(彼女の本名)の時のような  間違いをくりかえさないためにも
自分を甘やかすのはやめよう!
 がんばれ  (俺の本名)

手術前に届いた手紙。俺は目の前が真っ暗になった。

続く。

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絶望の世界に生きる目は全てが乾いて見える。
頭のネジが飛んでしまったようにね。
あぁ。世界は狂っている。俺も狂っている。
死に惹かれながら死を恐れる矛盾に。
俺が俺じゃない時こそが至福のときといえる。
眠っているとき、酒を飲んでいるとき。

俺は逃げ出した。
怖くてしかたない。なにもかもが。
人生とはなんのためにあるのか?
一生懸命働いて、その先に何があるのか。
一生懸命生きて、その先に何があるのか。
自己満足ではないのか?
違うのだろうか。
経験したことが無い。
するつもりもない。どうでもいい事だ。
記憶が消去されることが怖いだけなんじゃないのか?
未来への希望はないというのに。
生き恥を晒しながら何故生きている?
怖いのか。
他に理由があるのか。
強烈な恐怖の死と向き合い続けた彼女は死ぬ瞬間まで強く生きた。
俺はどうだ?終わっている。腐っている。
泥水を飲んででも生き延びるようなものだ。
悲しみや辛さを全て忘却の檻へと封印して。
零れ出る思い出は悲しみに包まれて涙で流して。

卑怯者だ。届かない至高の存在。
もう、絶対に届かない。
なにがあっても。終わってしまった人生は取り返しがつかない。
死に引っ張られて、生に引っ張られて、俺は毎日を怠惰にイき続けるしかない。

腐ってやがる。

続く。
ありえない。ありえない。ありえない。
だからないことにした。俺は、なにもなかったことにしたかった。
精神がぶち壊れ、それでも「ない」と思い込むことで何もかもを空想の世界へと追いやった。
辛い時は夢を見ればいい。
悲しい時は泣けばいい。
心の傷は癒えやしない。
クスリと酒と睡眠の世界へと逃げることで俺の心は平衡を保っている。
少しでも違うことがあればパニックになってしまう。
逃げの思考。
違う。
前向きになったところで・・・。
違う。
言い訳だ。
違う。
失われたヒトはよみがえらない。
違う。
何を願っていた?
違う。
そんなことはない。死を望んでいるはずだ。
違う。
手紙を読め。現実を受け止めろ。
違う。
俺は?
違う。
どうしたい?
違う。
何が?
違う。
何も。
違う。

あああああああああああああああああああああ!

侵食しているのか、されているのか。
俺のテリトリーはなくなり彼女もまた俺によって自らのテリトリーをなくした。
むき出しの心は強く傷つけあって、傷を舐めあい続ける。

こ ん な は ず じ ゃ な か っ た 。

ストーカーとは愛憎の心の究極の形だと思う。
彼女の強力な愛と強い生き様は美しく、時に反動がありとても醜い。
覚えているだろうか?ダブルストーカーの存在を。
そのうちの一人が家に押しかける事件がおきた。
刑期を終えて出てきて真っ直ぐ向かってきたそうだ。
3重の意味で死の恐怖をもつ彼女は俺に電話で助けを求めてきた。
とりあえず、警察へ連絡し、暴れたので公務執行妨害と家宅不法侵入の罪で引っ張られていった。
後で会うことになるのだが、顔はそこそこで背丈は高く、筋肉もスポーツマン程度にはある男だ。

悲しみが、呪いに似た愛が俺を包む。
何故ここまでヒトを愛することができるのか。
理解が出来ないモノを化け物と言うが、確かにその通りだ。
死んでいく心の細胞と殺していく心の細胞が拮抗していって。
カケラカケラをひとつずつ救って欲しいと願い、だが、それは叶わない夢。
喧嘩と平穏と甘美な毎日を送りながら。
このまま、ずるずると生活していくんだろうと観念していた。
しかし、氷が溶けるように、少しずつ、破綻していった。
亀裂が入った時点でわかっていたことだったが、先延ばしにしつづけてきた。
現実なんてものは見たくなかったからだ。
少しずつ病んでいく心臓を見てみぬ振りをしながら、元気な声が明日も響くと信じて・・・。
いや。信じるしかなかった。信じたくなかった。

ネット上のストーカーはふっと姿を消した。
恐らく飽きたのか、それとも、他に好きなヒトができたか。
まぁ、どちらにせよひとつの懸念が減ったことは喜ぶべきか。
あとヒトリ。
奴は怖い。殺るか殺られるかの世界で生きている目を見たことがあるかい?
彼はそんな目をしていた。
そんな奴と対峙しなくてはならない。
何故なんていってられない。もう、ここまできたら・・・。
奴は何でもやる。俺の命も狙われている。
奴の思考回路はシンプルだ。

俺を殺せば彼女は自分の元へ戻ってくる・・・。

ありえない。だが、ありえないことほどありえる。
事実は小説よりも奇なりとはよくいったものだ。
勿論、俺は全力を持って対抗した。
彼女を守りながらも自分も守らなければならない。
手段なんてそれこそ選んでいられない。
心臓が





・・・・・・・・そう。




心臓に負担を相当かけるものなのだ。
重圧にしろ恐怖にしろ死への恐怖にしろ・・・。
死が身近にないヒトにはわかるまい。
明日には心停止して命がなくなってしまうという状況下を。
全てが。
何もかもが重なって。
それでも強く生きようとして。
心労が祟った。
楽に生きることが何故出来なかったのか・・・。
単純な事だ。責任感の強さ故、自分が家庭を引っ張っているという劣等感から
子供のころから頑張り続けていたのだ。
俺はナメていた。命をかけて生きているヒトの情熱を。
普通のヒトが蝋燭なら、彼女はオイルで塗れた蝋燭のようなものだった。
知らない。知らない。知ったことか。知るはずが無い。
隠された真実。どこかにあった真実。
いまさらの話だ。

話を戻そう。
ストーカーはしつこく付きまとった。
俺と彼女に。だが、彼女の責任感の強さは異常すぎた。
俺と付き合ったことで迷惑をかけていると自責しつづけていた。
そんなことないといい続けても無駄だった。
頑固なのだ。感情の面においては、とにかく。
だから。
だから。

だ か ら 。

俺は。
任せてしまった。
甘えてしまった。
償え切れぬ罪。
戻れぬ過去。

続く。

ウィナの準備とは簡単な事だった。
素体といえばいいのかわからないが、現世へ降りる際の肉体を選べと言う。
1つ目の体は見た目や身体能力など、全てが平均的な体だった。
俺を生き返らせる為には人を殺さなければならない事を考えれば目立つのはまずい。
そういった意味ではベストと言えるかもしれない。
2つ目の体は1つ目と違い、かなり目立つ部類に入る。
しかし、目立つというデメリットさえ何とかすれば活動しやすい体と言える。
3つ目は赤ん坊だった。つまり転生して活動しろと言うことだ。
意識はそのうち復活すると確約はしてくれたが・・・この体は論外だ。

俺「おい、もう少しバリエーションはないのか?」
ウィナ「あとはおじいちゃんとかそーゆーのだけど、いいの?」
俺「・・・・・わかった」
ウィナ「あっははは!ま、時間はいっぱいあるしじっくり考えなよー」

ウィナが俺の体に引っ付いてくる。
100年間近く孤独だったせいらしく無意識にくっついてしまうらしい。
正直、困る。俺は女の免疫が全く無い。
いくらウィナがアホな性格をしていてもぷにぷにと背に当たる感触ばかりはどうしようもない。

俺「邪魔だ。離れろ。どの体にするか考えている最中だ」
ウィナ「いーじゃんいーじゃん。やらしー事もついでに考えちゃっていいよ?」

”んふふー”と悪魔の笑みで笑う。
からかわれている事は百も承知だが、しかし・・・これは・・・。
喋らなければ俺と年相応で美しい女なのだ。
誘惑しているのか・・・?格好が悪魔だしな・・・。
いや、まて。これでは彼女の思う壺・・・と思った瞬間。

ウィナ「ふふー。顔つきの割りにウブなんだねー」
俺「うるさい!」
ウィナ「きゃはは!」

俺は恥ずかしさを隠すために手で払いのける。
ウィナはケラケラ笑いながら漆黒の翼を使って空中に逃れていた。
黒い衣装だと思っていたが、翼だったのか。
まるで茶番劇だな。俺も、この悪魔も・・・。
苦笑しながら考える。どの体にするか。二者択一なのだがそれ故に悩む。

ふーむ、うーむと唸っていると、ウィナが俺の隣に降りてきた。
何のようだ?と聞こうと思って思い直す。
構えば話に乗っかってくるだろう。今は自分の体が最優先だ。
どの道、あっちから我慢できずに話しかけてくるだろうと思っていたが
あてが外れたようだ。じぃっと見られ続けるのもなんだか照れくさい。

俺「何のようだ?」
ウィナ「勝った~!」
俺「は?」
ウィナ「どっちが先に話し出すか勝負してたんだよー」

にははと笑う悪魔。

俺「ふざけてると二度と口は利いてやらん」
ウィナ「ごめんごめんってー。ゆるして・・・ね?」

ね?が遅れて聞こえてきた。どうやら頬にキスされていたらしい。
本当にどうしようもない・・・疲れる悪魔だ・・・。
どうしても今日は遊んでほしいらしい。そのぐらいの意図はもう、読めた。
しょうがない奴だなと苦々しく言うとパァっと顔が明るくなる悪魔を見て思った。
本当に寂しかったんだな、と。
なら1日ぐらいは良いかと自分でも変だと解る理由をつけて、とりあえず体選びを諦めた。

目覚め-1-1-2- 完

飴玉はいずれ舐め消えてしまう。
同じ味の飴玉はいずれ舐めるのが億劫になってしまう。
自分の心の弱さ、空洞をヒトを傷つける事で埋め合わせしていく。
抉る心、抉られる心、後悔、微笑、懺悔、始まり、終わり。
思考が壊れタガが外れた俺の心。憎しみは快楽に変わり生きる力と変えていく。
終わらない悪夢。終わりは自分の命の電源を切るだけ・・・。

真実はどこに?
ヒトを支配する事とはある種の共依存と言える。
どこまで欺け続けれるか、俺が欺かれているのか。
選択肢を出し、出され、息詰まる関係と甘い関係を繰り返し繰り返し。
予定調和なのか、不確定なのか。まるでシュレーディンガーの猫の世界に嵌った気分に陥る。
愛憎が膨れ上がっていき矛盾した感情は爆発物と変わらない。
開けてみないと解らない次の日。
喜怒哀楽のいずれから始まるのか?
携帯のメールを見る瞬間にそれが決まる。
俺が望んだ世界と彼女が選んだ世界にはかなりのズレがある。
彼女は俺がどこかへ消えてしまわないかとしがみ付き
俺は重たい荷物を抱えながら生きる日々となった。
バラバラな世界と感情の波に揺られ、俺は少しずつ破壊されていき
彼女もまた、俺の毒気にあたり壊れていった。

俺が女性と話しているだけでキレる彼女。
だが自分は疚しい事がないと言う理由で男と話す。
理解出来ない。何故?何故?何故?正確な答えは無い。
俺が染まってしまったのか、俺が染めてしまったのか。
心の色がわからない。俺なのか、彼女なのか。
同一心を望む彼女だが言い分だけを聞いていると上位にいたがる気がする。
俺は距離を取り平等に遊びたかった。
彼女は距離を無くしたかった。
互いが互いの強い世界観を押し付けあい、和解しては甘くなる。
軽い手術の前に不安だからという理由で12時間ほど一緒にいて
手術後は病院を抜け出し吐血しながら俺の元にやってくる彼女。
心配、不安、怖い、いなくならないでほしいという気持ち。
強い重圧。自由がほしい。俺はどうすればいいのだろうか?
振れば良いのか?離れれば良いのか?駄目だ。
そんな事をしたら死んでしまうかもしれない。
俺はヒトの命まで責任は取れない。現実に逆らいたいが倫理の心がソレを許さない。

あぁ。
俺はどこでなにを間違えたのか。
それとも。
始まりから間違っていたのは俺の世界だったのだろうか・・・。
支えを持ち全てに立ち向かう彼女、理由を使い全てから逃げる俺。
しかし、まだ俺は幸せだったと思う。本格的に壊れるのはこれからだったのだから。

続く。

世界とはとても脆いものだ。
世界を信じているヒトの方が多いと思うし、事実そうなのだろう。
だが、世界は俺を裏切り、何もかもが反転した。
病んだ精神、病んだ体、病んだ生活。
いっそのこと廃人にでもなってしまえばどれだけ救われたか。
死を受け入れたい心、拒否する体。
皆、気づかぬまま漠然と死に向かっている。
生を受けた瞬間に受ける宿命と解っていても。
何が楽しくて生きているのだろう?
何がしたいのだろう?
わからないまま怠惰に過ごしそのまま崩壊を迎えるのか。
なら生きている意味なんてないのだ。
理屈上ではそう理解していても体が拒否する。
いくら泥酔していても、体が受ける痛みは必ず在るのが厄介だと思う。
瞬間的に死ねる方法は色々あるが体が拒否する。
一線を乗り越えるには勇気が無ければ駄目だ。
勇気とは生きる希望であり、生きる理由になる。

死ぬと 無 になると思っているが。
意識が吹っ飛ぶ瞬間とはどんなモノなのか・・・。
興味が沸いているし、生きる目標の無い俺は死のうと思う事は多々ある。
俺が死ぬ事は取り立てて問題はないが遺族に迷惑がかかると思うと実行できない。
少なくとも、今は。
長生きしていてほしいと思う反面、早く楽になりたいという矛盾。
生きる事なんてただの苦痛でしかない。
世界はいつでも誰をも裏切るから。
自分がこうして立っている拠り所がいつどうなるかなんて誰にもわからない。
わからない以上、恐怖しか残らない。
どれだけ安全運転を心がけてても飛び出してくる子供がいて人生が狂ったり。
どれだけ注意して歩いていても暴走車に突っ込まれて死ぬこともある。
ケースなんて考えるだけ無駄だ。
こうして書いている間に俺の頭に隕石が落ちてきて死ぬ可能性だってあるのだから。

俺は負の可能性が怖くて仕方ない。
安全な場所なんて無い。
どこにも。どこにも。ならばこそ。
生きる目標がなく、生きた屍ならば。
快楽主義に走ってもいいと思う。
ヒトはいつどんなときどんな状況でも死が待っているのだから。

続く。

病的な愛情は時に強固な意志となり意思は形となる。
ネット彼氏、ネットストーカー、リアルストーカーを持った彼女は
自らを強めるしかなかったのだろう。
俺はその強さを知らずに手を出してしまった。
今ではもう遅い。
後悔は先にたたず、懺悔などただの自己満足であり、
現実を見据え受け入れる事こそが俺にできる最大の行動なのだから。

ネットストーカーは実に厄介なもので粘着質極まりない。
彼らの思考回路はさっぱり解すことができないが、
非常にポジティブか、ネガティブかのどちらか極端であり
異様さを感じられる。ただ俺はそれを見て楽しんでいる更に底辺なクズだが。
心の迷い、動きを見て楽しむ。時折手助けして自分の用意した結末へと導いていく。
得も知らぬ快楽、神にでもなった気分になる。
追撃を振り切るには痕跡を消せばいい。
それは過去を捨て去ることになってしまう。
ヒトの強さの根源のひとつに思い出がある。
簡単に振り切れるものではなく、しかし、他に選択肢はなく。
葛藤し、行き場のない怒りを俺にぶつけ、誘導していく。
少しずつ領地を減らしていき、孤立寸前まで追い詰め、
頼れるのが俺しかいなくなるまで誘導し続ける。
とても楽でとても楽しい作業だった。
ある境から作業は当たり前の行為となると俺が退屈になる。
だから、色々なスパイスを振り掛けて、味を変え、じっくりといたぶっていった。
日々目減りしていく思い出、友達、その都度苦しさを俺にぶつけて
その苦しみの内容を聞くたび、酒とは違う陶酔感があった。
簡単に言えば、支配していた。一個のヒトを。
しかし、予定調和ほど面白くないものはない。
どんな料理だって食べ続ければ飽きてしまうように、俺は素材そのものを
ガラっと変えてしまう事に決めた。全てを捨てさせるか、それとも
俺を捨てるかと、残酷で結果は決まりきっている質問を投げた。
彼女の葛藤は凄まじいモノだった。何せ自分の強さを支えていたほとんどのものを捨てろといわれているようなものだから。
影であざ笑いながら俺はその葛藤をただ見ていた。
背を押してやるのは最後の最後。
そうでないと意味がない。支配とは生かさず殺さずだと俺は思っているからだ。
葛藤しきり、心がつぶれ、俺に頼ってきた時、俺は彼女を完全に支配し、
彼女は俺の支配を受け入れ過去の全てが終わる。

こうして、彼女は俺の支配を受け入れた。

続く。

死後の世界を想像したり不思議体験などで、
自らに宿る日々死へ歩む恐怖の心に安らぎを与えるためだけの
自慰行為としか思えないのだが、精神は存外脆く、ほんの少しだけ
堕ちれば精神世界は狂ってしまう。
だがその反面、安全圏の中で生と死を歩む事をヒトは望む。
絶対的にある「死」へに対する心の体操なのだろうか・・・?
しかし、俺は知っている。
死と死を。
狂ったヒトほど極彩色と崩れた絵柄を好むのだが
特に好む色は血と同じ赤。
もしも魂があるとすれば、赤いのだろうと思う。
死の瞬間、異常に熱いモノを感じるというがそれは本当だ。
熱く熱く熱く、青く青く青く、火炎が暴れるかの如く脳が痺れる。
ふわふわした浮遊感と轟々と燃える脳の矛盾。
得も知れぬ快楽と恐怖。アンバランスな世界。
涙がでているのに心は泣いていない。
涙がでないのに心が泣いている。
すべてが矛盾していながらすべてが繋がっている不思議な感覚。

嘘。これらは嘘だ。死ねやしない。ただの虚像。
本当の死は無に収束する。
何もない。そこに感情も考える力も浮遊感も。
ただ死へと向かうだけのイキモノになる。
自殺を考えるヒトは前述が多い。だがそれは脳内麻薬の快楽のようなものだ。
リストカットがいい例かもしれない。
だが。

本当に死にたい奴は、何も考えずに、決められたルールのように、死ぬ。

信用や信頼という言葉は大嫌いな単語だ。
人は誰だって醜く意地汚く裏切る存在だからだ。
赤ん坊のようなソレを手にしては突き崩し、無となりまた輪を作る。
まるで悪夢の連鎖だが騙している訳ではないので非難される立場ではないと考えている。
人の疲れ乾いた心に水を与え奪う。
信用が、信頼が、絶望に変わるその時だけ、俺の心に水が与えられるのだから。
最も真剣に物事を順序良くこなし餌になるまで宝石のように扱うのだから疲れない訳がない。
異端である事は分かっているがどういう訳か近づき過ぎると破壊してしまいたくなる。
どこまでもどこまでも。じりじりとじりじりと。一撃で楽にせず彫刻刀で心を切り刻むケースが最も満たされる。
どう崩壊するのか、どう罵声を浴びせてくるのか、泣き崩れるのか、怒り狂うか、それとも死を選ぶのか。
人それぞれ違っていてとても滑稽だ。
負の感情を弄ぶにあたって一つだけ注意しなくてはならないことがある。
入れ込まれすぎない事だ。
喰う側が共倒れしてはならない。
女にせよ男にせよ人間は感情の動物だ。
理性が崩壊した時、俺が殺される場合がある事は常に頭に刻んでいる。
発狂させても自滅するタイプなら全く問題はないが、中には相手を殺して自分も死ぬ選択を取る奴がいる。
最も恐ろしく近づきたくないモノだ。
メンヘラーと呼ばれているらしいがさっさと精神科へ行って感情をコントロールしろと警告したい。
自らが狂っている精神を持っていることを認めたくない連中が、今は多すぎる。
10年前と比べて俺の栄養素を見つけるのが格段に難しくなった。
潜在的に狂っている。俺も、お前たちも。
誰もが狂っているからこそ純粋なモノなどないというのに人はソレを求めてやまない。
希望より絶望を。
苦痛の生より安楽の死を。
パンドラの箱の逸話は有名だろうが希望だけが残されていた理由は人の本質を見極めたからだろう。
決して美談なんかではない。人を馬鹿にした話だ。
無い物に憧れるという気持ちは理解できなくはないが自分自身を理解しようとせず、
ハッピーエンドで終わる様な代用品で必死に目を背けて何になるのだろうか。

さて。
彼女から話を聞いた限りでは男が浮気性らしい。
しかし好きな気持ちと裏切りたくない気持ちがあり、こんな相談をしている自分もまた、浮気ではないかと自己嫌悪しているようだった。
最も楽なタイプだなと瞬時に思った。
自分は悪だと思いながらも正義感に近い感情で何とかしたいがどうも出来ない。
そんな人にはただ黙って聞いてやりイエスマンになれば問題ない。
答えなんてもう出ているのだからソレに導いてやればいい。別れろという形で。
そして恋人以下友達以上のような役割を演じて包み込み、洗脳した。
甘い水と辛い水だったら誰だって甘い水を飲みたがる。
毒入りと気づかずに。人は絶対にありえ無い希望に縋るのが好きだからだ。
長く長く辛抱強く耐えなくてはならないがその後の愉悦を考えれば楽なモノだ。
紆余曲折した事は何度もあったが別れさせる事に成功した。
男というモノは面白い。釣った魚に餌を与えないと言うが、自業自得で逃した魚を
今度は追ってくるモノだから波乱があった。ストーカー行為って訳だ。
後から知った話だが、もう一人ストーカーがいてソイツは暴力沙汰などいろいろな罪で刑務所に入っているとの事だった。
ダブルストーカーを持つ彼女。
俺にとってはとても楽しめそうだなと、その時ワクワクしたのは言うまでもない。

続く。

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HN:
ゼロ
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1982/07/05
職業:
ゲーム動画配信実況
趣味:
ネットラジオ
自己紹介:
ほぼ毎日配信をしています。

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